小説学園ネジヒナA

「え?」

ヒナタは自分の目を疑った。だから思わず目をこすってしまう。

そうして再度視線を戻せば、そこには従兄の日向ネジがいる。

(ど、どうして?)

彼はヒナタを嫌っていて、顔も見たくないのか、よほどの事がない限りヒナタに近づかない。

だからヒナタが音楽教室で一人、部活の居残りでピアノの練習をしているこの場に彼があらわれた事が

不思議でならなかった。彼は無表情に教室の入り口近くの壁にもたれて腕を組んでいる。

「あ、あの…な、何かご用でしょうか…?」

もう練習を切り上げて帰ろうと思っていたヒナタは、ともかくネジに声をかけた。

自分はこの教室の鍵をかけて帰らねばならない。だからネジがここにどういう理由でいるのかは

知らないが、ずっと居座られては困る。

「あ…あの?」

さっきからずっと無言のネジに、ヒナタは困って再度声をかけた。

「あの男は誰だ?」

「え?」

いきなり切り出してきたネジの問いかけにヒナタは目を丸くする。

あの男と言われても、見当がつかない。

だがネジは鋭い目で更にヒナタを責めるように言い放った。

「最近転校してきた奴だ!あいつに何をした?愛の告白か?!」

「なっ/////」

瞬間からだがカッとして、思わずヒナタは両手で熱い頬を隠すように覆ってしまう。

その反応にネジが顔をしかめた。同時にぎりっと歯ぎしりをする。

「ふん、図星か。で?お付き合いとやらをするのか?あんな問題児と!」

「ナ…ナルト君は、問題児なんかじゃありませんっ」

ヒナタがナルトを庇った瞬間、ネジの目が残酷な光りを帯びた。その冷たい瞳に

思わず背筋がぞくりとしてしまう。このネジの瞳にはおぼえがあった。

ヒナタを嫌い、滅多に接触しないネジだが、どうしても顔を合わさなければならない

時がある。

そういったときに、ヒナタはネジに対する緊張からよく失態をしてしまうのだが

そのネジの逆鱗に触れたときの目と、いま彼が怒りをにじまていせる目が同じであった。

(ああ、またネジ兄さんを怒らせてしまった…!)

理由はよくわからない、大体いつもネジが怒る理由などわからないのだ。

だから今回も対応のしようがないネジの一方的な責めを耐えなければならないようだ。

ヒナタは震えながらも俯き目を閉じた。こうして体を竦めて大人しくしていれば、

ネジは最後には呆れて立ち去ってくれる。

だから、今回もこうしてやり過ごせば、なんとかなるだろうと考えていた。

だが、それは大きな間違いだった。目を瞑って俯いていたヒナタのあごに手がかかり、びくんっと

からだを震わせた瞬間、生暖かいものに口を塞がれる。

驚いて目を開けば、そこには目を閉じてヒナタにくちづけをするネジの端正な顔があった。

信じられない展開にヒナタはパニックを起こし、とにかくネジから逃れようと体をひねる。

だが、体はびくともせず、そうこうしている内に、ネジの手がヒナタ髪をぐいっと後ろに引っ張った。

驚いて口を開いたヒナタのそれに、ネジがぬるりと舌を差し込んでくる。

(い、いやっ)

恐怖に涙が溢れたが、ネジは残酷にもヒナタの胸をセーラー服ごしに揉みしだき始めたのだった。



戻る
戻る